30代クライシス

今年で、とうとう30代になる。

 

やりたいことを色々やってきた。

 

30前にどうしてもやりたいと思って、念願だったアメリカ旅行にいった。めちゃめちゃ忙しいのに、仕事を年末年始の12月29から1月の3日まで休んだ。

 

サンフランシスコを経由して、ラスベガスに行く。そこから、車を借りた。

 

車はジープ。できるだけ大きなアメ車に乗りたかった。いざセドナへ、440キロのドライブ。

アメリカラスベガスをおっかなびっくりで走行し、ハイウェイをすごい速度で飛ばして走った。夕方になり、夜になった。星空へ続くようなどこまでも続く道をひた走った。

まるで宇宙にたどり着けそうな気がした。

 

暗い森の中をどこまでも走り、山を越えセドナにつく。日本にも訪れたことのあるという、イングランド人の高齢の女性が経営する居心地のよいペンションに泊まる。次の朝にカーテンを開けると雄大な景色が広がった。

 

昨夜は暗くて、どんな場所か分からなかった。朝起きてびっくりした。赤い大きな岩肌が周りを取り囲んだ街だった。

 

スピリチャルな体験をし、ロックをいくつか登る。うまい飯を色んな所で食べた。

 

ロックは男性性と女性性のパワーが流れているという。まず男性性のロックに登る。かなり息苦しくて気分が悪くなる。その後、気分が戻るまで飯も食えなかった。その後、女性性のロックに登る。こちらは全然余裕だ。不思議だ。気のせいだろうか。景色がよく。清々しい。

 

ちなみに私は全くといってスピリチャルなものを信じていない。しかし、信じてみたいなとは思っている。ともかく女性性の気の方が合っているのだろう。セドナでは一通り楽しんだ。

 

また帰りの440キロ、ラスベガスへ戻る。それに加えて、途中にあるルート66を走る。途中で見つけたアメリカのオールドスタイルのハンバーガー屋でハンバーガーとルートビアを平らげる。

 

年越しカウントダウンをラスベガスの街で過ごした。至る所でマリファナの匂いを感じた。年越しへの歓喜なのか、集まった群衆は異常な盛り上がりだ。

 

人の渦で全く身動きが取れない。

3.2.1

カウントダウン後に空には花火が上がる。歓声。

 

すごいエネルギーのある所だ。

 

泊まる所が予約できなかったから、その辺でピザを買って、ホテルのパーキングに停め、車の中で眠る。深夜2時に警備員が声をかけてくれた。安心して寝ていいよ。僕らが見張っているからといってくれた。なんて優しいのだろう。

 

それから昼過ぎまでまったく起きなかった。

 

 

予てからホテルのショーが観たかったので、シルクドソレイユのラブを観に行った。内容は、ビートルズの曲と共にビートルズの歴史を象徴的に踊りながら見せてくれた。

 

どうしてこんなにもビートルズが愛されているのかが少し分かった気がした。彼らが伝えていた愛とは色んな形があるのだった。愛とは何か、初めて深く考えてみたくなった。

 

ホテルのカジノで時間を潰し、車を返却し、空港に戻る。まだ深夜11時だ。近くのバーでビールを買う。買うときに冷やかされる。ボーイにはビールは早いんじゃないか?ボーイじゃないし、もう11時だ。ビールをくれ。周りの客もニコニコしている。この口の悪い店員は嫌いじゃない。遅刻して飛行機代をパーにした客の散々な日の愚痴を聞きながら、ビールを飲む。その後で仮眠を取る。朝4時ごろの便だ。

 

あっという間に、冒険のような旅が終わる。

旅は終わってしまった後で、充実感を感じた。その一方、収束してしまったという、終わってしまったという気持ちが自分を支配した。

 

また日常に戻ることを受け入れなければならない。

 

今の仕事は充実していて、楽しい瞬間も多い。素晴らしいことだ。

しかし、プラスにもマイナスにも心動かされることが多く、心を無にしないと辛くてやっていけないときもある。

 

30代このままではいけないと思う。

何ができるのだろうか?何をしたいのだろうか。忙殺されるのだけは嫌だ。

 

考えよう考えよう。

 

そうやってあっという間に何もできず年を取っていく自分に嫌気がさす。